でんき屋なのに修理できない家電がある理由~PL法と部品~
物価が高騰する中、家電の価格も大きく値上がりしました。この先も、上限の予想はつきません。
家電の多くが高価な為、修理して使いたいと考えるお客様も多くお電話やメールでのお問い合わせも増加しました。
そこで、現在までにわかった家電の修理のあれこれをまとめて解説したいと思います。
※エアコンや冷蔵庫など大型家電は
目次~この記事でわかること~
・最近多い小型家電の修理問い合わせの例
・でんき屋なのに、どうして修理できない?
・修理対応ができないメーカーの一覧
・意外と知られていないPL法の注意点
・どうしても修理したいとき
最近多いお問い合わせ例
表示部分につながる基盤や配線の緩みだと思うので、ハンダ固定でなんとかならないか?
といったお話でした。
スイッチ部分が飛び出しただけで、使用はできる。固定してもらえないか?
といったお話でした。
お話の多くは「簡単だと思うので修理して欲しい」といった内容が多い印象です。
「簡単だから、メーカーに出すほどでもない。」
「近くでサッと修理してもらえないかな?」
希望的観測の気持ちでのお問い合わせが多いと思います。
ここ数ヶ月の修理のお問い合わせのは10件以上、いずれも修理対応はできていない現状です。
でんき屋なのに、なぜ修理ができない?
若井家電の会長は50年近く家電の修理やってたから職人だし、お店で使ってる家電とか時々修理してるやん。
(なんか電線出てきたり蓋とれたりしてるけど、修理しながら使ってる工具とか家電がある)
なんでできないのか不思議だった。
理由は2つあるよ
・PL法
・修理に使う部品が入手できない
この2つが大きな理由かな
PL法(製造物責任法)
電気業界だけでなく、食品や建築など広く適用されている法律です。
『製造物の欠陥によって人の生命や身体、財産に損害が生じた場合に被害者が製造業者などに損害賠償を求めることができる法律』です。
PL法について詳しくはこちらから→https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/pl_qa.html
例えば、家電が発火して自宅が火事になったとします。
火元が家電だと特定された場合(証明された)、その家電メーカーに損害賠償を請求できます。
うち関係ないじゃん。
ところがどっこい、関係大ありなんだ。
例えば、簡単な修理だからと修理するとする。
その時点で、その家電の責任は修理したお店「若井家電サービス」に移るんだよ。
簡単に修理した家電が原因で、家電が発火して火事になったら火事の損害賠償は修理した業者がしなければならなくなるの。
修理をしてはいけないと言う法律じゃないから、修理しても良いけど責任が伴うお話だね。
小さなでんき屋で保証できる範囲ではないから、修理はできるだけやりたくないのが正直なところかな。
でも、エアコンとか冷蔵庫とか洗濯機は修理してるじゃん。
それは、メーカーの純正の部品を使って修理するからだよ。
そこがポイント。
修理をする人が知識と技術を持っていることは大前提になるんだけど、メーカー純正の部品であれば、メーカーが保証してくれるんだ。
だから、メーカー純正の部品があれば修理できるよ。
ポイント
・小さなでんき屋では、損害を補償する力がないから修理ができない。
事故の引き金になった上に、損害賠償への支払いできないなんて無責任が過ぎますからね。
補償ができないなら、修理はするべきではないというのが当店の方針です。
・メーカー純正の部品が手に入れば修理はできる。
メーカー純正の部品が手に入らない
最近は本当に増加しているのが、メーカー純正の部品が手に入らないことです。
「メーカー純正部品が手に入らない=当店で修理できない」ということです。
現在わかっているだけでも
・フィリップ
・デロンギ
・アイリスオーヤマ
・富士通(PC)
この4社は直接確認済で、部品は譲ってもらえないです。(=当店で修理できない)
※お客様からのお問い合わせがあったとき、随時メーカーに問い合わせを行っております。
・部品は出さない。
・お客様が直接メーカーとやりとりをして、お客様の手で修理品を荷造りして宅配でメーカーに送って、
メーカーで修理対応する。
最近は、この方法で修理対応するメーカーが多いです。(特に小型家電は多い)
ポイント
・メーカー純正部品が手に入れば修理できる。なければ、修理はできない。
・最近の小型家電は、メーカーとお客様のやりとりで修理対応することが多い。
当店で修理できないメーカー一覧(小型家電)
メーカー | 修理対応方法、その他の情報 |
---|---|
アイリスオーヤマ | ・全ての電気製品が、メーカー対応。 ・修理費用:購入時の金額と同額の場合が多い。 ・修理申し込み方法:メーカーとお客様間のやりとり。 |
ブラウン | ・全ての電気製品が、メーカー対応。 ・修理費用:故障の程度にかかわらず一律。シリーズごとに価格は変わる。 ※シリーズ9は¥15,180(2024.11調べ) ・修理申し込み方法:①メーカーとお客様間のやりとり。②購入店への持ち込み。 |
デロンギ | ・全ての電気製品が、メーカー対応。 ・修理費用:機種により価格が変わる。修理できない場合は同等の製品と新品交換。 ※型番:MDH15-BKの場合¥25,300(2024,11調べ) ・修理申し込み方法:メーカーとお客様間のやりとり。 |
富士通 | ・パソコン(パソコンのみ確認済み) ・修理費用:メーカーでPCの状態を確認し見積もりが出ます。 ・修理申し込み方法:ネット、もしくはパソコン説明書などに記載があるサポート窓口へ本人が連絡。 ※お客様の代わりに、富士通窓口に問い合わせをしましたが、パスワードや個人情報の登録や確認があるため、個人情報のことを考えると本人が実行することが理想。 |
※随時更新予定。
意外と知られていないPL法の注意点
でんき屋だけでなく、自分で加工した場合加工者が責任を問われる可能性がある。※大手家電メーカーの営業に確認済み。
例えば、最近の話でいくと洗濯機を専用の台に乗せて設置することが流行しているけど、あれも加工の1つと言われているんだよ。
台に乗せて洗濯機使用中に台から落下した。
動いて壁に傷を付けた。
こういった事故は、メーカーや技術者、営業によって補償外とするところもあるんだ。
SNSで流行っていても、注意が必要です。
SNSとか見てても、これはやばいだろ!
と思う使い方や設置工事とかあるもんね
まとめ
ポイント
メーカー純正の部品が手に入れば修理ができる。
修理の問い合わせは昔からありますが、ここ3年は確実に問い合わせ件数は増加しています。
増加の理由は『物価の上昇。家電品の価格の大幅な上昇』です。
今後、急な物価の下降は考えにくいことを思うと、修理を視野にいれた購入方法が大切だと思います。
面倒がらず自分で電話をして、荷造りしてなどの作業が苦にならない人はどこで購入しても大丈夫だと思います。
メーカーに電話したり、自分で荷造りしたり面倒くさがりの私は、購入したところで修理対応してくれるお店が良いってことだね~。
そうだね。
修理対応してくれるなら、うちじゃなくても家電量販店でもいいと思うよ。
家電を、どこで購入するにしても「修理」を念頭にいれたお買い物をこころがけましょう。
おまけ
時代の流れとはいえ、残念なのは
昔から家電を修理してきた職人がいるのに、出番が少なくなってしまったことです。
当店の会長は、50年前からでんき屋さんです。(45年前の開業前に雇用で電気屋に勤務していた)
今でも、身内の電気製品は修理します。
でも、最近の家電は基盤、トランジスタとかICでできてて、現実問題修理できないことの方が多くなったよ。
だから、さわれるところだけ修理して使ってるかんじだね~